消費税関連の手続きに関する簡易課税と経過措置

消費税とインボイス制度

消費税に関わる事業者にとって、インボイス制度の導入は取引環境の変化により、登録事業者としての選択を迫られるケースが増えています。

新規に設立した法人は、消費税の免税期間は定められているものの、インボイス制度についての知識はしっかりと身に付けておくことが重要です。

これまでは消費税について何もしなくても良かった事業者も、登録事業者になると適格請求書の発行や会計帳簿での課税区分と税抜き経理、消費税申告書の作成、納税など、急に事務負担が増えることになります。

しかし、簡易課税制度は中小事業者の納税手続きの負担を軽減するための制度です。

この制度を選択することで、事業者は売上に対する消費税額を基準に仕入れにかかる消費税額を算出できます。

 

簡易課税の選択メリット

さらに、簡易課税制度の採用によって事務負担を軽減するメリットも考えられます。

簡易課税制度を選択するためには、「消費税簡易課税制度選択届出書」を所轄税務署長(福岡の場合は福岡税務署、博多税務署などになります。)に提出する必要があります。

提出期限は、適用を受けたい課税期間の初日の前日までとされています。

事業者は簡易課税制度の利点が自社にとってあるのかどうかを検討し、期限までに提出するか、逆に「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」を提出して通常の課税に戻るかを決めます。

届出書の提出期限を守ることは非常に重要な手続きであり、税理士の損害賠償保険の事故事例でも大きな割合を占めているため、注意が必要です。

 

インボイス制度の経過措置

インボイス制度の導入に伴い、いくつかの経過措置が設けられています。

その中でも免税事業者は令和5年10月1日から登録効力が生じ、課税事業者となる場合があります。

もし免税事業者が登録日の属する課税期間内に簡易課税制度を適用する意思を示すための「消費税簡易課税制度選択届出書」を納税地を所轄する税務署長に提出した場合、その課税期間の初日の前日に届出書が提出されたものとみなされます。

初めて課税される事業者にとっては、課税期間が始まってからでも有利・不利を検討できることはありがたい制度です。経過措置が適用されるかどうかは、課税期間が始まる前までに確認し、適用される場合は活用することをおすすめします。