新設法人が注意したい消費税の税制改正

令和6年度税制改正により、消費課税において国外事業者が事業者免税点制度や簡易課税制度を利用した租税回避を防止するため、制度の見直しが行われます。具体的な改正内容は以下の通りです。

令和6年度税制改正の参考情報
令和6年度税制改正の大綱の概要」(財務省ウェブサイト)

事業者免税点制度の特例の見直し

特定期間における課税売上高による納税義務の免除の特例について、課税売上高に代わって適用可能とされている給与支払額による判定の対象から国外事業者が除外されます。

  • 特定期間とは
    • 個人事業者: その年の前年の1月1日から6月30日までの期間。
    • 法人: 原則としてその事業年度の前事業年度開始の日以後6ヵ月の期間。

資本金1000万円以上の法人に関する規制

資本金1000万円以上の新設法人に対する納税義務の免除の特例

外国法人は、基準期間を有する場合であっても、国内における事業の開始時にこの特例の適用の判定を行います。

資本金1000万円未満の特定新規設立法人に対する納税義務の免除の特例

特定新規設立法人の範囲に、事業者の国外分を含む収入金額が50億円を超える者が直接または間接に支配する法人を設立した場合、その法人を加えるほか、外国法人に対する取扱いと同様の措置を講じます。

簡易課税制度等の見直し

その課税期間の初日において、所得税法または法人税法上の恒久的施設を有しない国外事業者については、簡易課税制度の適用を認めないこととします。

適格請求書発行事業者に係る税額控除に関する経過措置

この改正は、すべて2024年10月1日以後に開始する課税期間から適用されます。

なお、2023年10月1日から2026年9月30日までの日の属する各課税期間において、免税事業者が適格請求書発行事業者(インボイス発行事業者)となる場合には、納付税額の計算において控除する金額を、その課税期間における課税標準である金額の合計額に対する消費税額から売上に係る対価の返還等の金額に係る消費税額の合計額を控除した残額に8割を乗じた「特別控除税額」とすることができる経過措置(いわゆる「2割特例」)が設けられています。

これらの改正は、国外事業者による租税回避を防止するためのものであり、日本国内の課税体制の整備と公平性の確保を目的としています。

関連記事一覧